
最低賃金について
今回のコラムは最低賃金についてです。
近年、最低賃金は毎年のように引き上げられており、今年も賃金の引上げが見込まれます。
最低賃金の引き上げは、従業員の生活を守るために重要な制度ですが、企業にとっては大きなコスト増につながります。
最低賃金とは?
皆さんご存知の通り、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度で2種類あります。
「地域別最低賃金」:都道府県ごとに設定され、全ての労働者に適用
「産業別最低賃金」:一部の業種で地域別より高い金額が定められている場合あり
*どちらか高い方を適用。
最低賃金以下の場合はどうなるのか
最低賃金額より低い賃金を、労働者・使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。
また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
★賃金を上げることによるメリット
①補助金等の要件になっていることもあり、優遇を受けることができます。
→IT導入補助金(申請枠によっては加点対象)
→キャリアアップ助成金
→小規模事業者持続化補助金(申請枠によっては加点対象)
②「賃上げ促進税制」に該当すると税額控除を受けることができます。(法人税・所得税)
条件により給与等支給増加額の15%又は30%の税額控除が可能。
③採用強化や離職率の低下、従業員のモチベーション維持に繋がります。
★賃上げによるデメリット
①人件費の増加
給与額だけでなく、社会保険や賞与の負担も増加します。
②扶養範囲内で働く人への配慮が必要
最低賃金が上がると、同じ時間働いていても、収入が増えてしまうため、扶養範囲を超えてしまう可能性があります。そのため、パートやアルバイトで働く人たちには事前にどのくらいまで働けるのかを確認しておく必要があるかもしれません。
最後に
2025年10月から滋賀県の最低賃金が1,080円に引き上げられる予定です。
また、10月は社会保険の等級も変更になる月です。パ―ト・アルバイトの方については、社会保険に加入するかどうかの判断も必要になります。そのため、扶養範囲や採用情報についても併せてご確認されてみてはいかがでしょうか?